マサト1

2008年7月21日 恋話
マサトは専門学校のクラスメートだった。
私は地元の高校を卒業して、上京し学校の寮へ入った。
入学した学校は割りと規模の大きい学校だったけど
私たちの居たクラスは、他の科とは少し違っていて
ひとクラスしかないアート系のクラスだった。
マサトは、頭も運動神経も良くてすごく優しい面白い男の子だったけど、顔は全然好みじゃないし、なんだか少し変わっていて、まさか自分が付き合う事になるなんて、入学当時は想像もしてなかった。

見た目と言うのは、意外と関係ないもので。
こだわりの古着だとか、描くイラストだとか、バスケの話をする時のキラキラした目だとか、だんだん「嫌いではない」くらいの存在になった。

マサトが私を意識し始めたのがいつからか、全然わからなかったんだけど、遠くに居るのにわざわざ来てたわいのない話をしたり、小学生のように後ろから首にチョップしてきたり、なんだか妙に絡んでくるなぁと思いつつ、私も好きな音楽の話をしたり、CDを貸してみたり、いつの間にか仲の良いクラスメートになっていた。

授業が終わって、マサトと私、それからよく話しかけてくるヒロシと3人が教室に残っていた。
ヒロシ「リナ、今日ヒマ?明日の授業で使う画材買いに行くんだけど一緒に行かない?」
バカに背の高いヒロシが、教室の入り口で声をかけた。
それを聞いていたマサトが
「あ、リナ、昨日みんなで行ったゲーセンで俺にリベンジなんだよな」
どうしよう。一瞬考えたけど、たぶんマサトの助け舟だと思って乗ることにした。
「ごめんヒロシ、今日はやめとく」
マサトが勝ち誇ったような顔をして見えたのは、気のせいじゃなかったと思う。

それから、なんとなく放課後遅くまで公園で話したり、電話したり
付き合ってるような感じになった。
とにかく、何が楽しかったのか、あの公園にはよく行った。
何があったわけでもなかったと思うんだけど。
ベンチに座って、連続何時間同じガムをかみ続けられるか挑戦した話とか(2日くらい噛んでたらしいけど;)
好きな事の話とか、テストの時期には一緒に勉強をした。
おかげで、テストの順位は彼と私で1位と2位なんて事もあった。

専門学校1年生。
彼も私も、付き合った事はあったけど、エッチなんかほとんど未経験で、高校生、いや、今時中学生?小学生?くらいの付き合いだった。

マサトと付き合い始めて初めての夏休み。
私は実家に帰った。
夏休み中には何度か手紙を書いた。便箋を買って、切手を貼って。
返事はそのたびに来た。彼らしい、イラスト入りだった。
そんなやり取りをしていたある日の事。

「今から行くよ」
電話の向こうで確かに彼は言った。

 

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